第12章 電子商取引

理化学研究所革新知能統合研究センター客員主管研究員 国立情報学研究所客員教授大阪大学社会技術共創研究センター招へい教授 国立がん研究センター医療AI研究開発分野客員研究員弁護士(東京) 板倉陽一郎

1 はじめに

 本章では、2022年における電子商取引に関連した新規立法・法改正、政策等の動きを概観する。情報技術の進歩は引き続き目覚ましく、2022年11月には米OpenAI社が、大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)を利用した人工知能(AI)であるChatGPTを公表し大きく話題となった。既にChatGPTを組み込んだ消費者向けサービスも多く現れており、そのほかの大規模言語モデルも続々と実サービスへの実装が進んでいる。大規模言語モデルに対する規制は世界中の関心事項であり1、我が国における消費者に関連する電子商取引についての施策を論ずる際にも、引き続き重大な関心事である。

2 新規立法・法改正

(1)消費者契約法及び消費者裁判特例法改正(サルベージ条項の一部禁止、消費者裁判特例法の対象に慰謝料を一部追加する等)

 2022年1月17日から同年6月15日まで開催された第208回国・・・

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