第9章 欠陥住宅

弁護士(愛知) 石川真司

1 裁判例

 令和5年5月25日 大阪地裁判決 〔1〕

 中古住宅を購入した消費者が、建物に雨漏りが発生して居住が困難になる隠れた瑕疵があったことから、瑕疵担保責任に基づき売買契約を解除したと主張して、売主(業者)に対して解除による原状回復として売買代金の返還を、売主及びその代表者、仲介業者代表者並びに宅地建物取引士らに対して不法行為等に基づく損害賠償請求をした事案。

 売主らは、建物引渡時に雨漏りはなかった、仮に雨漏りがあったとしても契約解除は認められない等として争ったが、裁判所は隠れた瑕疵を認めた。解除の可否については、買主は、目的物の瑕疵の修補が不能である場合のみならず、契約目的や、修補工事の規模及び容易性、修補金額の多寡、修補が建物の意匠等に及ぼす影響の程度などの諸事情を総合的に考慮して、買主を契約の拘束力から解放することが社会通念上相当である場合には、契約の目的を達成することができない場合に当たるものとして、瑕疵担保責任に基づく解除をすることができるというべきとしたうえで解除を認め、売買代金相当額の返還と、瑕疵担保責任による損害賠償として、売買契約に伴う諸費用のほ・・・

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