弁護士(京都) 増田朋記
第1 はじめに
本稿では、消費者契約法関係の裁判例として、大阪高等裁判所令和4年9月20日判決(以下、「本判決」という)を取り上げる。
第2 事案の概要
本判決の事案は、被控訴人の事業者と消費者との間の分譲地管理契約に対する契約条項について控訴人の適格消費者団体が差止め等を求めたというものである。
被控訴人事業者は分譲地の管理事業を行っているが、この分譲地管理事業はもともと平成25年に東京地方裁判所から再生手続開始の決定を受けた株式会社ZKRが行っていたものであった。それが、株式会社ケイ・アール・ジーへと譲渡され、さらに平成29年9月に被控訴人に譲渡された。これによって株式会社ZKRが分譲地所有者との間で個別に締結していた管理契約が、事業の譲渡に伴って被控訴人へと引き継がれたのである。
同管理契約においては「本規約に基づく管理期間は、毎年1月1日から12月31日迄とする。但し、所有者が分譲地に土地を所有する間、更新するものとする。」との契約条項(以下、「本件更新条項」という)が用いられていた。
そこで、控訴人の適格消費者団体は、本件更新条項が消費者契約法10条により無効であ・・・
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