弁護士(大阪) 西村陽子
前回白書以降(132号から135号まで)の特定商取引法関係の判決は、以下の3件である。
〔1〕は、家庭用太陽光発電システムを販売設置する訪問販売契約を、クーリング・オフによる解除、消費者契約法4条3項1号による取消しをしたところ、業者側から、民法641条による契約解除がなされたことにより、太陽光発電システムの販売費相当額及び保管費用、設備設置費用(外注費は控除)の損害を被ったとして、129万4850円及び将来の保管費用について損害賠償請求がなされた。本判決は、クーリング・オフ解除及び消費者契約法による取消しを認めなかったが、太陽光発電システムは転用が可能であるので、民法641条による契約解除に伴う損害は、外注費を控除した設備設置費用の17万4350円に限られると認定した。そのうえで、特定商取引法10条は、訪問販売における損害賠償等を一定の額に制限する趣旨の規定であるから、民法上の中途解約権が認められる契約における中途解約についても適用されるとし、太陽光発電システムの引渡し前に本件契約が解除されたので、「契約の締結及び履行のために通常要する費用の額」及びこれに対する・・・
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