「エホバの証人」問題の特徴と課題

弁護士(神奈川) 田畑 淳

1 エホバの証人とは

 私は「エホバの証人」問題支援弁護団の一員です。宗教による被害の問題については、金銭的な問題が深刻なケースが多く、消費者問題に取り組む弁護士が新興宗教の問題にも取り組んできた歴史があります。

 しかし1870年頃にアメリカにおいて創始されたキリスト教系宗教であるエホバの証人は少し異なる性質を持っています。

 まず教義の特徴のうち重要な3点を挙げます。

 第一は終末思想です。エホバの証人では、近い将来ハルマゲドンが起き、非信者は神に滅ぼされて死に、信者だけが生き残って永遠の命を得ると信じられています。

 第二は、文言そのままで聖書を解釈し、現代社会に直接適用するという「原理主義」です。このあと述べる輸血の拒否や、ムチを用いた体罰も、原理主義による聖書解釈に基づくものです。

 第三に、信者は「エホバの証人教団」つまり組織が神との間の絶対の経路であると信じていることです。

 教団の示す聖書解釈に忠実に従うことが神を喜ばせ、教団に従わないと、ハルマゲドンで死ぬ。この考えは親から子に伝えられ、子どもは恐怖で縛られます。

 2世信者は幼少期から、親と共に「会衆」という信者グループに・・・

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