大阪・納骨堂経営許可取消訴訟1審やり直しを最高裁が命じる

弁護士(大阪) 豊永泰雄

第1 事案の概要

 大阪市長は、宗教法人のA寺に対し、墓地、埋葬等に関する法律(「墓埋法」)10条により、同市内で納骨堂を経営することを許可し、その後、その施設を変更することを許可した。

 本件は、上記納骨堂の周辺(100m以内)に居住する被上告人(第1審原告)らが、上告人(第1審被告)を相手に、上記の各許可の取消し(一部の被上告人にあっては上記の経営の許可の取消しのみ)を求める事案である。

第2 原判決及び争点

1 原判決の結論

 原判決(大阪高裁)は、行政事件訴訟法9条2項に従い、関係法令である墓地、埋葬等に関する法律施行細則8条(「細則8条」)等の趣旨及び目的を参酌して、上記納骨堂から300m以内に居住する被上告人らには原告適格があるとして、訴えを却下した第1審判決を取り消し、本件を第1審に差し戻した。

2 上告審の争点

 本件の争点は、被上告人ら周辺住民が原告適格を有するか否かである。

 すなわち、①最高裁平成12年3月17日第二小法廷判決(裁判集民事197号661頁。「平成12年判例」)は、上記10条1項の規定により大阪府知事がした墓地の経営の許可につき、墓地から300mに満た・・・

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