食品自主リコール制度の実効性を問う
─届出・公表制度は健康被害防止に役立っているのか─

食の安全・監視市民委員会共同代表 佐野真理子

 食品衛生法改正に伴い、食品の自主リコールの届出・公表制度がスタートして今年6月で満2年となる。食品事業者が都道府県に報告したリコール情報を厚生労働省と消費者庁が連携・公表する制度だ。だが、業界への普及・周知に比べ、消費者の認知度は低い。一つの理由が消費者にとって制度が使いにくいという点があげられる。消費者庁と厚生労働省との連携にも課題があり、制度の目的が十分に果たされていない。

食品リコール届出制度、施行2年の課題
二つの法律に基づくクラス分け

 食品自主リコールの届出・公表制度は厚生労働省の食品衛生法と消費者庁の食品表示法の二つの法律に基づき、実施されている。その目的は、

① 事業者のリコール情報を行政が確実に把握する

② それを的確な監視指導や消費者への情報提供につなげる

③ 消費者の健康被害発生の防止を図る

 消費者にとって③が重要となる。2021年6月1日から施行され、今年で満2年を迎える。そして、制度の運用は次のような手順で実施される。

 食品事業者は食品衛生法に違反する食品や違反のおそれがある食品、食品表示法に規定された安全性に関する表示に欠落や誤りが・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。