種子法廃止違憲確認訴訟について

弁護士(神奈川) 田井 勝

1 事案の概要

(1)種子法廃止違憲確認等訴訟について、原告らは2019年5月、東京地方裁判所に提訴しました。

 この裁判では、国会で制定された主要農作物種子法(種子法)廃止法によって種子法が廃止されたことが、原告らの「食料への権利」を侵害するので、憲法違反であり無効である、と訴えております。

(2)主要農作物種子法(種子法)について説明します。種子法は、米、麦、大豆などの主要農作物の種子を都道府県の管理下で開発・生産し、優良な品種を安定供給するために制定された法律です。第二次大戦後の1952年、国会で法制定されました。

 この法律に基づき、各都道府県の農業試験場にて、種子の元となる原原種・原種が生産され続けてきました。そして、その原種から種農家が種子を生産し、一般の農家に良好かつ安全な種子が提供され続けてきました。また、種子法に基づき、地域の風土に合った優良な品種(コシヒカリなど)が開発・育成され、奨励品種として指定されてきました。

 種子法の結果、日本では主食である米などの食物を安定供給が保障され、また、私たち国民は、安全で良好な食物を食べ続けることができたといえます。

 と・・・

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