マルチ取引会員家族からの消費生活相談の現状と課題

消費生活相談員 消費生活アドバイザー 平林有里子

はじめに

 「今、恐らく、一番マルチ取引に関して詳しいのは全国の消費生活センターの相談員さんなんだと思うんです」

 令和5年3月30日の衆議院消費者問題に関する特別委員会の中で、河野太郎消費者担当大臣がこう答弁されている1。本村伸子議員からの、マルチ取引会員家族のための公的な専門相談窓口を設けることができないかという質問を受けたものだ。本村議員の質問は、同年2月に開催された日本弁護士連合会主催「特定商取引法5年後見直しについての院内学習会」での、被害事例報告を受けたものと思われる。答弁の中で河野大臣は、「国民生活センターによりますと、マルチ取引について、2021年度でございますが、約8000件の消費生活相談が寄せられておりまして、そのうちの約25%が家族など契約当事者以外からの相談になっております」という、具体的な数字を示した。

 消費者担当大臣より消費生活センターの相談員が「一番マルチ取引に関して詳しい」と答弁いただいたことは、光栄なことではあり、更に同じ答弁の中で「消費生活相談の充実強化を図っていきたい」とご発言いただいたのは、大変有り難いことで・・・

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