投資詐欺被害者へのカウンセリングについて

弁護士(大阪) 加納雄二

 マルチ商法の被害者は、その投資によって儲かると信じ込まされている。だから、投資を止めさせるには、そのような精神状態、思いこみを解く必要がある。

 私のところには、カルトに限らず、子供がマルチ商法にはまったなどという親からの相談がときどきある。そのような場合、以下の内容を伝え、継続的に指導する。

① いつでも本人と連絡を取れる状態にしたうえで、実際に連絡を取ること。

 第一に必要なことである。説得のきっかけを作ることになるし、これだけでも本人が逃げ出すきっかけになることもある。そのためには、「いつでも戻って来ていい、受け入れる」というメッセージが本人に伝わる必要がある。連絡を取っていれば、特に脅迫的要素の強いケースの場合、本人がくたびれてしまい戻ってくることがある。

 仮に返事がなくとも、メール等を送り続けるとよい。

② 本人と話ができるならよく話し合うこと。特に本人の言い分を聞くこと。

 頭ごなしに止めろと説得してもだめで、本人がそうしたマルチ商法になぜはまっているのかを理解することである。

 説得といっても、本人が自分で考えて結論を出すということになるので、なぜはまっているかを理解す・・・

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