大阪IR事業用地借地権設定契約締結等差止請求訴訟について

弁護士(大阪) 荒木晋之介

第1 はじめに

 私は、大阪地方裁判所に係属中の、大阪IR事業用地借地権設定契約締結等差止請求訴訟(以下「本件訴訟」)の原告代理人である。本稿では、IR事業用地である夢洲の地盤の問題点、本件訴訟に関する経緯、そして、極めて重要な基本合意に関わる文書が非開示とされている問題について述べる。年について、特記していない場合は2022年を指す。

第2 IR事業用地である夢洲の地盤の問題点

1 大阪IR事業について

 大阪IR事業は、大阪府(以下「府」)の事業であり、大阪市(以下「市」)は事業用地である夢洲(ゆめしま)の土地所有者として関わっている。

2 夢洲の地盤の問題点

(1)はじめに

 夢洲は浚渫土砂及び建設残土による埋立地である。その地盤は、①軟弱地盤②土壌汚染③液状化④地中埋設物⑤地盤沈下という課題を抱えている。この課題は、府市が共同設置したIR推進局の資料にも次のとおり明示されている。

(2)令和3(2021)年1月7日「土地に関する課題」

① 軟弱地盤 大阪湾の埋立地特有の軟弱地盤

 想定以上に地盤状況が悪いことも判明

 地盤沈下対策・建物の安全性確保のために特別な対策が必要

② 土壌汚染・・・

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