欠陥住宅紛争の基礎知識(61)
─欠陥住宅の立証(2)─

弁護士(東京) 河合敏男

3 類似箇所の瑕疵の推定

 例えば、筋かいの端部の留め付け不良(筋かいプレート不存在など)が1箇所で発見された場合、建物全体に多数施工されている他の筋かいも同様の欠陥があるか否か、他の箇所も破壊調査して目視確認しなければ立証したことにならないかということが、しばしば問題となる。全部目視確認しなければならないとしたら、建物を丸裸にせざるを得ず、非現実的であることは言うまでもない。

 例えば、札幌地裁平成13年1月29日判決(消費者のための欠陥住宅判例第2集72頁)は、「瑕疵の多くが契約の性質上遵守を求められる公庫仕様による施工を行っていないことに起因する場合には、一部に瑕疵があることが証明されたことにより、類似箇所に類似の瑕疵がある可能性が極めて高いと結論することには充分な合理性がある」として、破壊検査等による全瑕疵についての直接、正確な立証がなくても瑕疵を認める判断をしている。

 瑕疵の内容にもよるが、1箇所だけの確認では偶々その箇所だけ不良があったという可能性もあるので、2箇所以上の調査確認が必要となる場合もあろう。複数の箇所で同じ瑕疵が発見されれば、同一の施工者の施工で・・・

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