雨漏り和解事案
─中古物件の雨漏りによる売買契約解除事件─

弁護士(大阪) 岩佐誠二

1 事件の概要

 平成29年に購入した鉄骨造陸屋根3階建ての中古住宅(平成15年築)で、新築のようにリフォームされた状態で引き渡されたが、入居間もなく2階サッシから雨漏りが発生し、その後、強い雨が降るたびに3階サッシなどからも雨漏りが発生し、相談時には、雨水の浸入が著しく、壁紙のめくれ、ふくれも発生している状態であった。

 建築士の協力のもと調査した結果、押入内や畳下など、1階から3階まで、多数の漏水跡が発見され、外壁に散水試験を実施したところ漏水の侵入が確認された。

 そのため、売主に対して、瑕疵担保(契約不適合)責任、及び不法行為責任を追及した。

 そのほか、売主代表者に対して、会社法429条1項に基づく損害賠償責任、及び仲介業者に対して債務不履行、及び不法行為責任、仲介業者代表者に対して会社法429条1項、及び不法行為責任を追及した。

 建物の瑕疵が問題となることから、建築専門部(10民)への配点を上申したが、売買契約なので一般部に配点され、その後、付調停となり、通常の調停事件(調停主任の弁護士、一級建築士及び元裁判官の調停委員の三人で調停委員会を構成)として、10民に係属し・・・

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