日本の民主主義運動強化のために(34)
─権力犯罪を暴く(1)─

弁護士(大阪) 木村達也

1 はじめに

 民主政治が、正常且つ健全に機能するためには国民一人一人が政治の担い手として民主政治のルールを守らなければならない。特に、政治権力者がその権力をもって違法や不当なことをしてはならないし、国民はそれを“決して許してはならない”のである。しかし、安倍政権当時、一強独裁化していたため、森友・加計学園、桜を見る会の事件の如く、権力を私的に濫用し、野党から指摘追及されても一強独裁権力の下に「知らぬ存ぜぬ」の嘘を吐き、権力犯罪を完遂してしまった。批判を受けて一度決定したことを修正し、閣僚の罷免を続けている岸田政権の方がまだしも民主政治なのである。

 今回は権力者の犯罪を暴くという民主政治の機能について考えてみたい。

2 赤木訴訟

 この事件は、安倍政権下の2018年3月、学校法人森友学園に安倍首相の妻昭恵氏らの関与の下、国家権力が破格の価格で国有地を売却したという権力犯罪であった。後日、この事件が国会で問題になった時、この事件の調査報告書から安倍昭恵氏の名前を削除するなど14件の文書削除が行われた。この改ざんの方向性を決定付けた佐川宣寿元財務局長らの権力犯罪に対し、違法な改・・・

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