日司連意見書「マルチ取引の在り方に関する提言(R4年版)」を発出

日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会委員 司法書士 山田茂樹

はじめに

 日本司法書士会連合会は、令和4年12月27日付「マルチ取引の在り方に関する提言(令和4年版)」(以下「本提言」という)を発出した。本提言では七つの項目にわたる提言をしている。本稿では、上記七つの項目ごとに本提言の概要を紹介する。詳細についてはウェブサイトを参照されたい1

1 【提言1】登録制度の導入

(要旨)

 特定利益率や小売利益割合の制限等の組織の仕組みにまで踏み込んだ登録要件の試み

(説明)

 マルチ取引をめぐる被害の現状からは、現在の事後規制を主軸とした制度から「事前規制強化+事後規制」モデルへ転換の必要性がある。

 そこで、①極悪層を市場に参入させない仕組みとし、②スクリーニングを経た連鎖販売業につき、適正な意思形成の確保、情報開示等の制度を強化することにより、健全な市場の形成を図る仕組みの導入として登録制度が必要(登録事業者に対しては行為規制等を強化)と考えた。

 その仕組みは、「無限連鎖講」となる危険性を孕むスキームの排除を第一の目的とし、当該仕組みをとる場合を登録拒否事由とした(例:①組織構成員のみで「日用消費財」以外・・・

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