元明治学院大学法学部教授 圓山茂夫
2016年改正の附則の見直し時期が到来し、特定商取引法の改正が論議されている。筆者も大きな改正が必要だと考えており、本稿で通信販売、登録制などの改正を提案したい。
1 勧誘の有無で通信販売を区分し直す
(1)勧誘がない前提は崩れた
通信販売の規制は1976年に始まった。1996年、通信販売から電話勧誘販売を切り出して規制強化した後は、枠組みが変わっていない。
1976年当時を思い出そう。パソコンも携帯電話もインターネットもなく、電電公社の市外電話料金は超高額、フリーダイヤルもなかった。新聞雑誌・カタログ等の紙の広告を見て郵便で申し込む時代だった。事業者の勧誘はあり得ず、消費者は静かな環境で主体的に意思決定したため、広告規制が中心となり勧誘規制やクーリング・オフは含まれなかった。
しかし現在、インターネット通信販売の被害は見過ごせない。①SNSのメッセージやWebのチャットで対話的に勧誘。②Webサイトの動画で勧誘。③自宅に置いたスマートスピーカーに「音楽配信聞き放題」を勧められ何気なく返事したら課金。④閲覧履歴・購入履歴を分析したターゲティング広告や「お勧め商品・・・
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