消費者取引に関する分野横断的な行政ルール
─不公正取引に関する包括規定(受皿規定)とリスト化について─

弁護士(大阪) 浅野永希

1 はじめに

 本稿では、日本弁護士連合会が、2022(令和4)年2月18日付で発出した「公正な消費者取引を確保するために分野横断的に適用される行政ルールの整備を求める意見書1」に関連し、包括規定(いわゆる「受皿規定」)とリスト化について紹介する。

2 包括規定(受皿規定)について

(1)包括規定(受皿規定)に関する提言

 前掲意見書において、「不公正な取引行為を個別的に規定するとともに一般性を有するいわゆる受皿規定を同時に設けること」を提言した。

 また、内閣府消費者委員会の「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキンググループ報告書2〜公正な市場を実現するためのルール及び担い手のベストミックスを目指して」(令和元年6月・消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキンググループ)においても、受皿規定の有用性が指摘されている(前掲報告書・第2の2(2))。

 同報告書では、受皿規定を設けることにより「個別類型に係る具体的な規定は包括的な規定の例示として機能することによってその解釈適用の適切な範囲が理解される」とし、包括規定と個別規定とは「両者は相互補完的に機能するこ・・・

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