ヒトは何故、依存症になるのか。その回復の道筋とは

関西医科大学精神神経科学教室 池田俊一郎

 今まで様々な臨床の現場で、覚せい剤、アルコール、そしてギャンブル依存症と様々な依存症の方を診療してきました。その中で「ヒトは何故、依存症になるのか」という問いに関して、今、私が言える言葉は「人間だから」という答えです。依存症は、一回の使用で依存になるわけではありません。社会的許容から逸脱した使用・利用である「乱用」を繰り返すことで、「渇望」そして「耐性」「探索行動」と悪循環を繰り返し、徐々に依存が形成され、コントロール障害である依存症になります。しかし、何故、人間は合理的に行動できないんでしょうか。それは、脳科学的には脳内報酬系に対するドーパミンが作用していると言われています。覚せい剤やアルコールに代表される一般に快感や多幸感を生じさせる薬剤は、脳内報酬系回路に直接あるいは間接的に作用して、ドーパミンニューロンからのドーパミンの放出の促進あるいは再取り込みの阻害によって、ドーパミンの細胞外濃度を高める働きがあることが知られています。同様に、ギャンブルに関してもドーパミンを放出することで、行動嗜癖になっていきます。脳科学的にはこのように解釈され、徐・・・

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