貸金類似のファクタリング取引の規制に向けて

 弁護士(東京) 木本茂樹

1 問題の所在

 ここ10年ほど、ファクタリングなどと称して、貸金業法や出資法などの貸金関連諸法の規制を潜脱するような取引が問題となっている。ファクタリングには様々な種類があるが、貸金類似と考えられるものは、次のような二者間ファクタリングである。

  1. 事業者(利用者)が、取引先に対する売掛金債権をファクタリング業者(ファクター)に売却することを内容とする債権売買契約を締結し、売買代金を支払うが、買戻し特約が付されており、事業者は譲渡対象債権の支払期日の前にこれを買い戻すもの(買戻し特約型)。
  2. 同様に、売掛債権をファクターに売却する形式を採るが、債権譲渡通知の発送を留保し、利用者とファクターとの間で回収委託契約を締結し、利用者が引き続き回収をし、ファクターに引き渡すもの(回収委託型)。

 いずれの場合においても、予定されていたとおりに進んだ場合には、(a)契約締結時においてファクターから利用者へ金銭が交付され、(b)買戻し時ないし回収時に利用者からファクターへ売買代金額を上回る金銭の返還がなされるだけでしかないという点で、金銭消費貸借取引と外形上全く同じ構造を有している。そして、利・・・

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