消費者とサブリース契約

東洋大学法学部企業法学科准教授 太田昌志

はじめに

 サブリース契約とは、サブリース業者が賃貸人より物件を一括で借り上げ、自らの采配で転借人を入居させるという転貸借契約を前提とした契約である。転借人のテナント料と賃貸人へ支払う賃料の差額が賃借人であるサブリース業者の利益とされ、不動産バブル期に「支配床」を増加させたい不動産開発業者が競ってサブリース契約を使ってサブリース事業に乗り出した。その後のバブル崩壊と経済事情の変動によって、当初予定していた賃料の支払契約が行き詰まり、多くの賃料減額請求訴訟を引き起こした。近年はこのサブリース契約が形を変えて消費者の前に出現している。かつては不動産業者の支配床の拡大のため、または地主による不動産再開発事業の受け皿として、いわば専門業者向けに展開していた印象があるが、近時は、サブリース業者が建築した建物を一般的な消費者に売り、その物件を建築施工主のサブリース業者が一括して借り上げて、テナントを募集するという手法で、不動産投資のひとつとして活用されている。賃借人であるサブリース業者が不動産を一括して借り上げて、テナントとの各種交渉を行い、さらに契約期間中に賃・・・

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