オランダにおける電話勧誘規制の強化
─拒否登録制度からオプト・イン方式へ─

弁護士(大阪) 西塚直之
弁護士(大阪) 薬袋真司
京都大学大学院法学研究科准教授 カライスコス アントニオス

1 はじめに

 オランダは、テレマーケティング(電話による広告・勧誘)の規制について、従来はオプト・アウト方式の一種であるDo-Not-Call制度(電話勧誘拒否登録制度、“Bel-me-niet register”。以下「BMNレジスタ」という)を採用していたが、2020年に電気通信法(Telecommunicatiewet)を改正し、より厳しいオプト・イン方式(不招請電話勧誘の原則的な禁止)を採用した。

 本稿は、オランダにおけるDo-Not-Call制度の変更の理由と、新たなオプト・イン方式の規制の内容を紹介するとともに、オランダの民法上の対応を紹介するものである。

2 BMNレジスタとその問題点

(1)オランダにおけるテレマーケティングは、オランダ電気通信法その他の法律により規制されており、消費者市場庁(Autoriteit Consument en Markt.以下、「ACM」という)が行政的な監督を行っている。2008年の電気通信法の改正により、2009年10月1日からBMNレジスタが運用・・・

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