畜産動物における動物福祉を推進する論点

前衆議院議員 堀越啓仁

 ここ数年の中で、動物福祉、アニマルウェルフェアという言葉は、多く聞かれるようになってきていると実感しているが、政治の中においてまだまだ議論が成熟していない。特にワンヘルスの観点からの議論は急務であると考える。

畜産動物の健康が私たちの健康に

 そもそも私たちの生活、経済に大打撃を与えた今回の新興感染症も人獣共通感染症であり、毎年流行する鳥インフルエンザ、豚インフルエンザも同様に動物たちの健康が守られなければ人間の健康、経済は守られないという時代に入っている。

 毎年五つの新興感染症が発見され、そのうち三つ程度が動物由来とされるなか、このワンヘルスは必要不可欠な議論であると言える。

 これはウィスルのみならず抗生物質に対する耐性を持った「薬剤耐性菌」においても同様であり、WHOはこれまでと同様に抗生物質を使用していくと、2050年には薬剤耐性菌による死者数の予測は1000万人にのぼると推計値を出している(同じく2050年度段階での悪性腫瘍の死者数予測は820万人)。

 国民の命、健康を薬剤耐性菌から守って行くには抗生物質に頼っている工場畜産から、薬の依存度を減らす動物福祉政策を推進す・・・

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