日本女子大学家政学部教授 細川幸一
ペットを家族同然に思う人が増えている。コンパニオンアニマルという言葉もよく聞かれるようになっている。一方で、ペットに対する虐待や遺棄、ペット産業での粗雑な扱いなどがニュースとなることも多い。
他人の動物を殺したり傷つけたりした場合は刑法の器物損壊罪として処罰され得る。しかし、この規定は動物の所有者が同じことをしても適用されない。他人の物を壊した場合の罪であり、また動物は単に物としてしか扱われない。一方、動物愛護管理法の定める動物殺傷罪は所有者の行為に対しても適用され、器物損壊罪が1年以下の懲役又は100万円以下の罰金であるのに対して、愛護動物殺傷罪は5年以下の懲役又は500万円以下の罰金を規定しており、かなり重い。すなわち、動物愛護管理法は同法の定める種類の動物に限るが、動物は単なる物ではなく、「動物が命あるものであること」(同法の基本原則)に配慮しているからだ。
しかし、現在問題になっているのは民法の規定だ。日本の民法においては動物は権利の客体としての所有物にすぎない。しかしながら、欧州では近年、民法上、動物は単なる物ではない存在として認められ始めている・・・
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