措置命令の実効性と思わぬ形で判明した「食品ECサイト上の不具合表示」
─改めて問われる消費者行政と消費者団体とのコミュニケーションの重要性とは─

食の安全・市民ホットライン事務局長 西原崇文

序論

 2022年9月6日、消費者庁は、キリンビバレッジ株式会社が販売している「トロピカーナ100%まるごと果実感メロンテイスト」の表示について、景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、措置命令を出した1。一方、措置命令が出された当日、キリンビバレッジ株式会社が発出したニュースリリース「景品表示法に基づく措置命令に関するお詫びと再発防止策について」では、「※2022年5月4日以降の賞味期限の商品は、パッケージ表示を変更しているため措置命令の対象外」との記載2があった。

 筆者は、前号(133号)にて、食品ECサイトにおける「消費者にとっての不利益表示」の可能性の一つとして、「食品ECサイト上で表示された容器包装と実際に販売される食品の容器包装が異なる場合がある」と指摘した。

 そこで、ホットライン事務局で、2022年9月6日に、各食品ECサイトで販売されている「トロピカーナ100%まるごと果実感メロンテイスト」について、緊急調査を実施したところ、一部の食品ECサイト上で、「2022年5月4日賞味期限以前のパッケージ表示(措置命令対象の容器包装)」が、表・・・

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