中間食品の原料に鮮度保持剤が混入した事故(東京地判令和3年3月30日)

消費者安全問題研究会 土庫澄子

 「◯◯の素」などといった商品名で販売される高度加工食品は、食品が消費者に届くまでの製造や流通に様々な事業者が介在する。

 本件は、「洋風炒めご飯の素」を製造する液体調味料の原料として、中国から輸入され剥きニンニクを使用してローストガーリックを製造する過程で異物が混入した。

 この異物混入が欠陥にあたるかなどが問題となった。

1 事案

 被告商事(以下、商事)は平成28年6月27日、被告物産(以下、物産)が輸入した、中国で生産・加工された剥きニンニク10kg入り22パック(総量220kg)を三共食品に納入した。三共食品はこれを原料としてペースト状のローストガーリックを製造し、マルハマ食品など食品製造会社数社に納入した。

 平成28年8月20日、マルハマ食品において、ローストガーリックを原料として「洋風炒めご飯の素」を製造したところ、異物を発見した。マルハマ食品は異物を剥きニンニクに混入していた鮮度保持剤(以下、保持剤)と特定した。

 平成29年4月24日、原告保険会社は三共食品を被保険者とするPL保険契約に基づいて同社に4881万円余を支払い、保険法25条1項に基づき、商事に対し・・・

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