従業員的立場の者が署名代行方式で偽造した契約書の効力を否定した事例(和解)

弁護士(島根) 田上尚志

 合同会社の従業員的立場にある者が合同会社の名義及び代表社員の氏名を冒用して合同会社名義の自動車リース契約及び当該自動車リース契約に係る連帯保証契約を締結した場合に、これらの契約の効力を否定し、また、合同会社の従業員的立場にある者が合同会社の名義及び代表社員の氏名を冒用して合同会社名義の法人カード契約及び当該法人カード契約に係る連帯保証契約を締結した場合に、これらの契約の効力を否定した事例(広島地方裁判所令和2年(ワ)第1070号事件)。

事案の概要

 本件で被告となった合同会社(以下「Y1合同会社」という)は、すっぽんの畜養(捕獲した野生のすっぽんを肥育すること)及び畜養したすっぽんの販売等を営業の目的として、資本金40万円で平成29年10月17日に設立された合同会社である。

 もっとも、Y1合同会社は、すっぽんの畜養の事業としての優位性等を慎重に検討・研究して設立された会社ではなく、もともと島根県浜田市から補助金を受けて個人事業としてすっぽん畜養事業を営んでいた訴外女性Z1と訴外男性Z2が、当該事業が実質的に破綻状態に陥ったため、Y1合同会社で代表社員として登記されるこ・・・

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