いのちのとりで裁判全国アクション共同代表 弁護士(京都) 尾藤廣喜
「生活保護制度」の意義
私たちが、何らかの原因で生活に困窮したとき、憲法25条に基づき、国に対して、権利として「健康で文化的な最低限度の生活」を保障することを求めることができる制度が、生活保護制度です。
また、それだけでなく、その基準は、最低賃金、就学援助の支給基準、地方税の非課税限度額、医療費の自己負担限度額、施設の利用料負担額などと連動し、関連しています。
このように、生活保護基準は、制度を利用していない多くの人々にとっても、重大な影響を持つものであり、制度は、「いのちのとりで」とも言うべき重要な制度です。
2013年引下げと「いのちのとりで裁判」の提起
ところが、このように重要な制度が、ここ20年にわたって、後退に次ぐ後退を重ねてきました。中でも大きな問題は、2013年から15年にかけて、厚生労働大臣が、生活扶助費を平均6.5%、最大で10%引き下げたこと(以下「2013年引下げ」といいます)で、これは金額では670億円にもなります。このうち90億円が低所得層との比較均衡を理由とする減額(ゆがみ調整)分で、580億円が08年・・・
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