日本の民主主義運動強化のために(33)
—野党は何故選挙に勝てないのか?—

弁護士(大阪) 木村達也

1 はじめに

 民主政治は選挙で選ばれた議員の多数派が政権のリーダーに就任し、そのリーダーが任期中の政治を支配する。選挙で負けるとリーダーを降り、次の勝者がリーダーとなる。リーダーの交替ルールこそが民主政治の基本原則である。従って、民主政治の下では、先ず、選挙に勝つことが政治の原点となる。

 今日、米国で中間選挙が行われ、与党・民主党と野党・共和党が議会の多数派獲得のため鎬を削っている。当然、次の大統領選を巡っての争いでもある。しかし、多くのマスコミは、今回の中間選挙を「民主政治の危機」であると総括している。その理由は次のとおりである。

① 民主主義の下では、各候補者は自らの政治的見解を広く表明し、言論市場で競い合い、有権者が自ら賛同する候補者に投票する選挙によって指導者を選ぶ仕組みになっている。しかし、今回は候補者同士が政治討論会を拒否しているそうだ。政策を表明して反対意見と競うより賛同者を引っ張り続ける選挙戦術になっているのだという。政策論争がないのだ。

② それに、ロシアなどから巧みな偽情報がSNSなどを通して大量に拡散される中で選挙が行われているため、大量の情報を強・・・

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