宗教法人の解散命令請求について

弁護士(東京) 井筒大介

1 旧統一教会の解散命令請求の必要性

 旧統一教会は、①その伝道・教化活動、②献金・物品購入に対する勧誘活動、③原罪を脱ぐための祝福式(合同結婚式)という、その中心的活動のすべてについて司法によって繰り返し問題があると判断されている、極めて稀有な宗教法人ということができる。旧統一教会による長年にわたる国民の信教の自由の侵害、財産権の侵害、家族破壊の被害、いわゆる「宗教二世」の被害に関する事実は膨大かつ深刻であり、社会的に許容されるべきものではない。

 このような宗教団体に国が法人格を認め、税制上の優遇措置を享受させているのは明らかに不当であり、組織を弱体化させるためにも、旧統一教会の法人格を剥奪する必要がある。

2 現行制度の問題点

(1)建付けの問題

 現行制度上、宗教法人の設立については、いわゆる認証主義が採用されており(宗教法人法(以下「法」という)14条)、緩やかに法人格の取得が認められている。他方で、解散命令については、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。」(法81条1項1号)、「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと」・・・

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