宗教被害の解決の仕方

弁護士(東京) 川井康雄

1 宗教被害への取り組む心構え

(1)宗教被害相談の場合、相談の多くは、宗教団体から脱会した元信者からのものか、信者の家族からのものである。

 元信者からの相談の場合、脱会までに宗教団体から受けた精神的虐待や身体的な被害があることもあるし、特に信仰歴が長かったり熱心な信者であった場合、一旦は真理であると受け入れた教義によって人生の多くの部分をその教団に捧げてしまったことへの悔悟や苦悩、あるいは多数の人間を勧誘して信者にしてしまったことへの葛藤などから、脱会後も精神的に不安定であることも多い。そのような相談者にとっては、弁護士に相談するということだけでも大きな心理的な負担があることもあり、また、複数の弁護士に断られ続けて弁護士不信になりながら相談に来られるというような事案もある。

 このような相談については特に、そうした相談者の心情や状況に配慮した、寄り添う気持ちでの聞き取りを行う必要がある。また、脱会しているもののまだ信仰との間で揺れ動いている場合などは、弁護士への相談や委任後になって再度信者に戻ってしまう可能性もあることから、カウンセラーや同じ教団の元信者の話を聞くよう・・・

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