尚絅学院大学総合人間科学系社会部門教授 栗原由紀子
1 はじめに
定期購入とは、一度の申込みにより、定期的かつ継続的に商品が提供される取引のことであるが、インターネット通販を利用した、いわゆる「詐欺的な定期購入商法」が、ここ数年激増している1。その被害類型としては、①ある程度の定期購入回数・期間制限付きの購入契約である場合(回数条件・中途解約不可型)、②回数・期間制限はないが、通常価格での商品購入が「解約」条件とされて初回試し価格から通常商品価格の差額を請求される場合(解約手数料請求型)、③解約方法として電話連絡のみとされるにもかかわらず、電話が繋がりにくい、電話連絡可能指定時間があり、通常の勤務状況では電話できない場合等(解約意思表示困難型)がある2。
こうした状況に鑑みて、令和3年に特定商取引法が改正され、本年6月から施行されている。また消費者契約法も本年5月に改正法が成立し、消費者契約の解除に関して事業者に情報提供の努力義務が規定された。そこで本稿では、令和3年改正特定商取引法と令和4年改正消費者契約法が、「詐欺的な定期購入商法」の予防と被害救済にどのように資するのか、若干の検討を試み・・・
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