弁護士(神奈川) 青木敦子
第1 はじめに
視覚障害者にとって大変有用で非の打ち所がない制度……そのような形で盲導犬制度は広く認知されています。
他方、近年、盲導犬ユーザーによって不適切な飼養がされているとインターネット上で炎上した事例も見られます。
今回は、視覚障害者と盲導犬との関わりについて、動物福祉と障害者福祉の観点からご報告させていただきます。
第2 盲導犬制度の概要
1 パピー時代
盲導犬制度は、全国にある盲導犬協会が繁殖させた子犬(「パピー」といいます)を子犬時代のみ養育するボランティア(「パピーウォーカー」といいます)が、約10カ月にわたって養育し、家庭犬としての幸せを与える役割を負います。その後、盲導犬協会内の訓練施設において約1年ほど、盲導犬としての訓練を積みます。
2 訓練犬時代
すべての盲導犬候補が盲導犬になれるわけではなく、全体の6〜7割の犬が脱落し、CC犬(「キャリアチェンジ犬」といいます)として、もとのパピーウォーカーの下に戻ったり、里親に引き取られます。
残りの約3〜4割の盲導犬となった犬については、盲導犬協会が認めた盲導犬使用者(「ユーザー」といいます)が協会から、当該盲導・・・
この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。