希心館事件

司法書士(大阪) 新川眞一

はじめに(ちいさなカルト被害)

 昨今、旧統一教会の霊感商法とよばれる消費者被害が改めて注目を浴びている。

 被害金額が莫大で、被害者の心身および人生そのものを狂わせるという点で大きな被害であるが、以下のような、司法書士が代理関与して被害と闘うことになった、少額ではあるが、宗教ないしカルトまがい宗教の被害事例もあることを知っていただけたらと考えて本稿を起こした。

1 「希心館事件」

(1)「希心館」とは、令和元年頃から同3年に掛けて、関西地方を中心に、公共施設ホールなどを会場にし、新聞チラシや戸別ポスティングチラシなどで多数の集客をさせ、その場で来場客の悩み事を聞いたうえで、お祓いや除霊のためにと称して、別途日時場所を改めて、高額な祈祷料を徴収する、いわゆるカルト宗教まがいの消費者被害事案である。

(2)首謀者である「原勇水」と称する男は、新聞報道によると希心館の事業以前の1990年代に詐欺の廉で逮捕、実刑に処されたことのある人物である。また「希心館」の代表者とされる「荒木里輝」は、この消費者被害の首謀者ではあるものの、自らは現場に出向くことはなく、原勇水をして事業を展開し・・・

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