あるミニ集団に対する提訴

弁護士(新潟) 中村周而

1 はじめに

 本誌132号で、山口広弁護士から、全国霊感商法対策弁護士連絡会(略称:全国弁連)に「聞いたこともないミニ集団や個人教祖による被害相談が増大している」という報告があった。このような報告は、同じような相談を受け、解決の手掛かりを得たいと苦慮している者にとっては大変有益である。

 私も、最近、ある「ミニ集団」から様々な名目で多額の金銭の支払いをさせられたというA子さんとその家族からの相談を受け、ミニ集団の関係者を被告として損害賠償請求訴訟を提起したので、この機会に報告させていただきたい。ミニ集団の関係者とは、B夫婦と夫婦が経営する健康食品等を販売するC社、C社の取引先で実質的にはB夫婦が支配する販社Dの中心メンバー三人を指す。現在、係争中であり、私は原告代理人の一人である。

2 被害者がミニ集団に多額の金銭の支払いをさせられた経緯

 A子さんは大学を卒業し会社に就職して間もない頃から、同僚に誘われ、ネットワークビジネスに関与していた。そこでB夫婦と知り合い、夫婦の主催する宗教的グループに加入してTM(超越瞑想)の教えを受け、その教えに傾倒するようになった。B夫婦の妻・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。