情報公開請求訴訟の報告(1)

弁護士(東京) 神山美智子

 消費者庁長官を被告にした「機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業報告書」の開示請求訴訟が6月28日結審し、10月4日に判決が予定されている。機能性表示食品は、アベノミクスの一環として導入されたもので、トクホと異なり、個別の審査も許可もなく、事業者が自らの試験や評価に基づき、機能性を表示できるものである。

 この検証事業は、届出された146品目164成分につき、届出された分析方法により、定性分析・定量分析が可能かなどを調査したものである。その結果、届出内容を満たしていない商品が複数みつかっているので、購入者の権利を確保するためには、消費者庁はむしろ積極的に公開すべきはずのものである。

 当日の原告準備書面10を以下、簡単にとりまとめる。

A 部分開示義務

 最高裁平成19年判決は、「独立した一体的情報」の範囲を「最小限の有意情報」に限定して取り扱い、その範囲を超える情報については、不開示情報を除く有意の情報を区分して開示すべき義務(部分開示義務)があるとしている。被告は、「一体的情報」の範囲をあまりに広く解釈しており、到底「最小限の有意な情報」とは考えられないので・・・

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