欠陥住宅紛争の基礎知識(59)
─欠陥住宅の調査(4)─

弁護士(東京) 河合敏男

3 是正計画と見積り

(1)契約不適合(瑕疵)の内容について記載した報告書を第1部とすれば、第2部としてこれを前提とした是正方法(相当補修方法)と是正の費用見積(補修費用相当損害金の算定)に関する報告書が必要である。言うまでもなく、被害者側は、損害の立証責任も負っているからである。

 相当な補修方法とは、基本的に、「契約に適合した内容に回復する」ために何が必要かという視点から立案した工事方法である。そのために具体的にどのような材料を用意しどのような手順で工事を行うかを指摘する。部分的に破壊してやり直しが必要であり、そのために費用がかかったとしてもやむを得ない。

 是正方法の立案にあたっては、瑕疵が是正されることは当然であるが、是正工事の結果のグレードは契約合意の内容より上等であっても下等であってもならない。原則として意匠が大きく違ったり使い勝手が低下するような補修であってはならないし、新築建物である以上、継ぎ接ぎだらけの醜状を残すようなものであってもならない。静岡地裁沼津支部平成17年4月27日判決(消費者のための欠陥住宅判例集第1集)は「建物の安全性に関しては同等の性能・・・

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