送り付け商法規制の改正について

立命館大学大学院法務研究科教授 大下英希

1 特商法の改正

 2021年6月特定商取引に関する法律の改正案が可決・公布され、送り付け商法(ネガティブオプション)を規制する59条も改正された(以下、新法という)。旧59条(以下、旧法という)は、売買契約の申込みを受けていない者に対して、売買契約の申込みをして、商品を送付した場合において、「その商品の送付があつた日から起算して14日を経過する日(その日が、その商品の送付を受けた者が販売業者に対してその商品の引取りの請求をした場合におけるその請求の日から起算して7日を経過する日後であるときは、その7日を経過する日)までに、その商品の送付を受けた者がその申込みにつき承諾をせず、かつ、販売業者がその商品の引取りをしないときは、その送付した商品の返還を請求することができない」としていたものを、新法では回復期間1をなくし単に「その送付した商品の返還を請求することができない」としたものである。

 この改正はおおむね好意的にとらえられているが、筆者は本改正は、立法上明らかとすべき問題を明らかとせず、逆に新たな問題を生じさせるのではないかと感じている。そこで本改正の・・・

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