泊原発運転差止め判決のご報告

弁護士(旭川) 市川守弘

1 泊原子力発電所と提訴

 2022年5月31日、札幌地裁は3基の泊原子力発電所(以下「泊原発」という)の運転を差し止めた。泊原発は、泊村に3基ある原発のこと。1号機は1989年から、2号機は1991年から、3号機は2009年から、それぞれ稼働していた。3号機は、MOX燃料を使用する原発とされているが、現在までMOX燃料は使っていない。北海道電力(以下「北電」という)は、福島第一原発事故後(以下「福島事故」という)の2013年、泊原発3機について新規制基準の下で設置変更許可申請を行っていた。全国の原発がこの新規制基準の適合性を求めて設置変更許可申請を行っている。

 泊原発の運転差止め等を求めた最初の提訴は、2011年11月(1次)で、2次提訴を含め約1200人が原告となっている(以下「泊訴訟」という)。判決(以下「泊判決」という)まで提訴から10年以上が経過していた。

2 泊判決の要旨

 泊判決は、原発訴訟における主張立証責任論の判断とそのあてはめ、及び泊原発の安全性(具体的危険性)の判断に関する五つの争点の提示と津波に対する安全性に関する判断、が主要な内容となっている。前者・・・

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