弁護士(仙台) 太田伸二
1 はじめに
宮城県知事は2022年4月19日、石巻市社会福祉事務所長が行ったエアコン代不支給決定を取り消す裁決を行った。私はこの事件で審査請求人(保護利用者)の代理人を務めた。
2 生活保護におけるエアコンの位置付け
エアコンはある時期までは保有を容認されない資産であった。普及率が高まったことで保有自体は容認されるようにはなったが購入費は支給しない状態が続いた。
温暖化によって熱中症リスクが高まり、2018年4月に厚労省はようやくエアコン購入費の支給を認める通知を出した。その要件は以下のように整理をされる。
まず、以下の五つの要件のうち、いずれかに該当することである。
(ア)保護開始時にエアコン等の持ち合わせがない
(イ)単身者で長期入院・入所後の退院・退所時にエアコン等の持ち合わせがない
(ウ)災害にあい、災害救助法の支援ではエアコン等をまかなえない
(エ)転居の場合で、新旧住居の設備の相異により、新たにエアコン等を補填しなければならない
(オ)犯罪等により被害を受け、又は同一世帯に属する者から暴力を受けて転居する場合にエアコン等の持ち合わせがない
その上で、高齢者・障害者・子ど・・・
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