裁判の形勢が「原告側圧倒的有利」に一変
─物価偽装をただす─(第13回)

フリーライター 白井康彦

 物価偽装問題に取り組み始めて9年半。「うまくいくかもしれない」という気持ちが高まっています。いのちのとりで裁判の地裁判決で原告勝訴が続いたためです。2022年5月25日の熊本地裁判決、同年6月24日の東京地裁判決です。続く7月27日の仙台地裁判決が原告勝訴なら3回連続勝訴で、政府が窮地に陥るところでしたが、原告敗訴でした。2022年9月末時点では、原告側の3勝9敗。各地の地裁や高裁の審理で、被告側が危機感丸出しの対応をし始めています。

3地裁判決に共通する厚労省の物価指数計算の疑問点

 いのちのとりで裁判の最大論点になっている物価の論点のおさらいをしておきましょう。厚労省が2013年1月下旬に公表した生活扶助基準改定案の主要理由は、デフレ調整でした。通常の用語では「物価スライド」です。厚労省が根拠にした物価指数は、厚労省が独自に開発した「生活扶助相当CPI」。厚労省は「生活扶助相当CPIが2008年〜2011年の3年間で4.78%下落した」として、この下落率をそのまま適用して生活扶助基準を大幅に切り下げました。

 このCPI下落率はかなり異常な大きさです。総務省統計局が担・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。