日本の民主主義運動強化のために(32)
─ライフワークの重さ─

弁護士(大阪) 木村達也

1 はじめに

 私が法律実務家が書く論文を読む時は、「あぁ、この先生はこんな問題に取り組んでおられるのだな……。勇気があるな、偉いなぁ」と敬意を払って、その法律家が取り組まれている現場の問題状況に関心を持つ。そして、自分の経験上からこの先生が何処まで深く正確に問題状況が把握できているのかを知ろうとする。そして、次に書かれた論文に出会えば「おぉ、頑張っておられるな。この仕事がこの先生のライフワークになっているな。よく続けられるな……」と、尊敬の念を持って眺めるものである。世の中に多くの問題や課題がある中で、困難な問題に身を呈して取り組まれる真剣な姿勢に打たれるのである。

 私は弁護団を組んで、今はとても困難に見える事件に仲間と共に長く取り組まれるリーダー、社会に向けて発言し行動し続けるリーダーに深く敬意を表する。社会が沈黙して現状肯定してしまっている事実に、勇気を持って異議を述べ、問題提起をし続けることは想像以上に大変なことを知っているからである。

そして、そんなリーダーの努力によって社会は少しずつ前進し、改善されているのだと知っている。

2 実務の世界で持つ問題意識

 私達の法・・・

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