東京地裁のある部の意見変更から和解の経緯

弁護士(神奈川) 茆原洋子

はじめに

 東京地裁のある部では、訴訟の初めころに、「これを一連充当計算する例は最近ではないでしょう。うちの部では、30件くらいありますが、どれも、分断で判断しています。あとは陳述書を出すだけで、終わりでいいでしょう」という言葉がありましたが、めげずに、準備書面を12通出し、判例や書籍や論文など甲C号証として甲C54号証まで提出し8回の弁論に出頭しました。裁判官と顔を会わせて、裁判官の疑問に答える書面を書き、書面を何とか読んでもらうことが大切と感じました(別件で、一旦手ごたえを感じる応答をして下さった裁判官が交代し、その後まもなく結審した事件で、残念ながら敗訴し、今、上告中の件があります)。

 訴訟終盤にSMBCの和解案は3万円でしたが、裁判官が長い時間をかけて、SMBCを説得しているのを、廊下で待機して待ちました。強行法規である利息制限法の解釈、および、「他の金銭債務への充当」を示す「民法489条(改正後は民法488条4項)の適用」について、主張がなくても判断できるのですから、今後、東京地裁から最高裁までが変わっていくことを期待します。

 本事例は、2社相手に、途中で約・・・

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