デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ報告書について

内閣府消費者委員会事務局参事官補佐 小田直子

1 はじめに

 SNSは、多様な機能と利用のしやすさから、近年、その利用率が増加し、コミュニケーションのツールとして一般化してきている。これに伴い、SNS関連の消費生活相談件数も年々増加し、2021年には合計で約5万件の相談が寄せられるようになった。特に若年層に関しては、成年年齢の引下げに伴い、その消費者被害の未然防止に取り組む必要性が高まっている。そうした中、20歳代を契約当事者とする情報商材や転売ビジネスに関する消費生活相談に着目すると、その件数は2016年から増加傾向にあり、かつ、SNSが関連するものが見られる。

 このような消費生活相談の状況等を踏まえ、令和4年1月28日の第363回消費者委員会本会議において、「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ」(以下「WG」という)が設置された。

 WGでは、SNSを利用して行われる取引における消費者問題を中心に、被害の未然防止及び救済の観点から、令和4年2月から合計9回の審議が行われ、その結果が「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ報告書」(令和4年8月。以下「本報告書」という)として・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。