一般社団法人全国銀行協会コンプライアンス部金融犯罪対策室調査役 吉村隆史
「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」(以下「振り込め詐欺救済法」という)が2008年6月21日に施行され、10年以上が経過した。
振り込め詐欺救済法では、振り込め詐欺等の被害者の迅速な被害回復のため、被害者への被害回復分配金の支払手続等が定められており、ほぼ同時期に、全国銀行協会のガイドラインにおいて同法にもとづく具体的な手続が定められた。これを受け、各銀行は、事務取扱手続の内容等を踏まえて行内手続を策定する等、行内態勢を整備しており、信用金庫・信用組合など銀行以外の業態でも銀行界と同様の態勢を整備している。
本稿では、事務取扱手続のうち、金融機関における口座凍結手続きに焦点を当てて説明する。なお、文中、意見にかかる部分は筆者の個人的な見解を示すものであることを予めお断りする。
1 振込詐欺救済法が適用される犯罪
振り込め詐欺救済法が適用される犯罪行為(振込利用犯罪行為)は、「詐欺その他の人の財産を害する罪の犯罪行為であって、財産を得る方法としてその被害を受けた者からの預金口座等への振込・・・
この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。