配慮と倫理の時代……食の向こうに見えてくるもの

一般社団法人アニマルウェルフェア畜産協会事務局 奥野尚志

1 アニマルウェルフェアとは

 持続可能、SDGsという言葉を頻繁に耳にするようになりました。持続可能という言葉そのものが、このままではだめだよ、どうにかしましょうよ、ということではないでしょうか。私たちが暮らす地球、たくさんの命を宿すこの惑星が決して無限ではなく、有限であるという真実に向き合う時が来たということです。この地球のバランスを最も脅かしているのが、私たち人類、とりわけ近代以降の私たちの営みです。21世紀の今、求められているのは、配慮と倫理です。法や規則による規制ではなく、より高い次元での生産活動や消費活動が求められています。

 私たちの国で展開されている畜産においても例外ではありません。畜産の負の面が様々なところ、場面で顕在化しています。地球、人、家畜への配慮が不可欠であり、アニマルウェルフェア(AW)の観点は必須となります。AWはオルタナティブからエッセンシャルの時代となっています。

 AWという言葉そのものも、最近は少しずつ社会的に広まり、認知されるようになってきました。しかし、2014年にAWに関心を持つ生産者、研究者、消費・・・

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