詐欺に用いられた銀行口座についての仮差押

弁護士(大阪) 岡田 崇

Q

 最近、国際ロマンス詐欺などで口座凍結をしたときに数百万円単位で残高が残っているときがありました。振込詐欺被害救済法に基づく配当手続では被害額に応じて按分されてしまうことから、優先して返済を受けたいと考えています。どのようにすればよいでしょうか。

A

1 当該口座について債権仮差押をすることが考えられます。では、どのような権利に基づいて仮差押をおこなえばよいでしょうか。

 この点、銀行口座は詐欺の成立に不可欠なものであることから、銀行口座を提供した口座名義人については、少なくとも、被害者が当該銀行口座に振り込んだ金額の限度において、故意・過失により詐欺行為者を幇助したものとして、共同不法行為が認められます(民法719条2項、同条1項)。

 東京地裁平成26年9月3日判決、東京地裁平成27年3月20日判決、東京地裁平成28年3月23日判決(本誌109号289頁)においても、詐欺事案において口座名義人の共同不法行為が認められています。

 このようなことからすれば、口座名義人に対する共同不法行為に基づく損害賠償請求権を被保全債権として仮差押をおこなえばよいことになります。

2 口座名義・・・

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