デジタル時代における消費者紛争の特徴と課題
─サブスクリプションを中心に─

同志社大学人文科学研究所嘱託研究員(社外) 消費生活相談員 雪 美保子

1 はじめに

 長引くコロナ禍を背景に、消費者行動は非対面・非接触型取引に移行している。国民生活センター(2021a)によると、通信販売に関する相談件数は過去10年間(2011年~2020年)で最も増加し、現在ではその割合も店舗購入を上回り、全体の約4割を占めている。

 本稿では、デジタル時代における消費者紛争について、通信販売の中でも特に近年増加しているサブスクリプションを取り上げ、消費者紛争における特徴と課題を検討する1

2 サブスクリプションとは

 サブスクリプション(以下「サブスク」という)とは、定められた料金を定期的に支払い、一定期間、商品やサービスを利用できる定額サービスのことである。音楽・動画配信サービスをはじめ、セキュリティソフト、専門家(ITや法知識)による助言サービス、自動車、家電、家具、化粧品、洋服、花、サプリメント、外食などあらゆる業界でサブスクは取り入れられている。


図 サブスクのイメージ
国民生活センター(2021)「解約したはず!契約してない!と思い込んでいませんか? 予期せぬ“サブスク”の請求トラブル
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