4000万円以上の求償金を払えという判決と、払わなくてもよいという判決が併存? おかしくない!!

弁護士(釧路) 今 瞭美

1 事件の概要

 児童養護施設に収容されていた17歳の少年四人が、養護施設の臨時職員の指導に反感を持ち、諍いとなり、「火をつけるぞ」等という紛争があった。

 そういうことがあってほどなく四人で、その職員をこらしめる目的で、その職員が寝泊まりしている部屋に火をつけたところ、その部屋だけではなく、大きな火事となった。午後6時ころであった。この施設は、職員が六人で入所者は八人であった。

 保険会社が火災保険金を支払い、放火した少年四人と、その親権者である親に対して求償金として、約4008万円の請求をした。

 その施設には、合計で八人の少年が収容されていた。

 ボス的な18歳の少年がおり、四人の少年は「火をつける」ことについて同意を得て行ったということだが、その少年は、起訴されていない。

2 保険会社は、施設に対して、火災保険金を支払ったとして、少年四人と、少年の親権者である親に対して求償金請求事件を提起した。

 訴額は、4008万余円である。

 原告は、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社。

 被告は、四人の少年(17歳)とその少年の親権者である親。

 少年と少年の親の住所地は、旭川・千歳・釧路であった。

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