熊本県産アサリ産地偽装事件

弁護士(大阪) 石川直基

1 農林水産省は、2021年10月から12月にかけて小売店829店舗から50点を買い上げてDNA分析し、熊本県産アサリと表示していた31点のうち、30点で外国産が混入している可能性が高いとの結果を2022年2月1日公表した。また、2020年に熊本県でとれたアサリが21トンだったのに対し、上記調査期間3か月に同県産の表示で売られていた推計販売量は2485トンと3か月の販売量が1年間の漁獲量を大幅に上回っていたことも明らかにした。

 これらの報道を受けて、消費者は、熊本県産アサリの購入を控え、小売店も熊本県産アサリを店頭から撤去するなどした。

 熊本県は、同月8日、熊本県産アサリの出荷を2か月程度停止して、偽装の疑いのあるアサリをあぶり出すとともに、県独自のトレーサビリティ制度を導入することとし、国には、「長いところルール」といわれる産地表示ルールをアサリに適用しないよう見直しを求めた。

2 長いところルールといわれるものは、生鮮食品の原産地について、育成期間の長い場所を原産地とするルールであり、食品表示基準Q&A(生鮮-33)(当時)で、アサリの稚貝を輸入して繁殖させ、・・・

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