輸入折りたたみ自転車の走行中にシートポストが破断した事故

消費者安全問題研究会 土庫澄子

1 事案

 輸入折りたたみ自転車に乗って走行中に、シートポストが破断し、転倒して骨折した事故について、受傷した原告が、折りたたみ自転車のシートポストには耐久性不足等の設計上の欠陥や、使用上の注意表示が十分でない指示・警告上の欠陥があるなどとして、輸入したA社と販売したB社に対して製造物責任法に基づき、およそ1億円の損害賠償を請求した。

 原告は身長183㎝、体重80㎏の米国籍男性であった。本件自転車は中国で製造されたもので、製造業者は明示されず、B社のブランド名、商標である「AZULBYMOUSSY」が表示されていた。

 一審(東京地判平成30年2月16日)は、設計上の欠陥および指示・警告上の欠陥がないとして被告らの責任を否定したが、控訴審(東京高判平成30年7月25日)は、少なくとも製造上の欠陥があるとし、原判決を破棄して一審に差し戻した。

2 一審判決─欠陥を否定

(1)欠陥に関する問題

 一審では、①シートポストの耐久性不足、あるいはシートポストの前部に「HL」の刻印があることによってシートポストの強度が低下したという設計上の欠陥があるか、②シートポストの固定位置に関す・・・

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